11/13(日)「フェチフェス・アンダーグラウンド映像祭in東京」来る!@新宿GYOEN ROSSO 198
こんにちは。
”見世物小屋”の追っかけをライフワークにしている猫蔵(ねこぞう)です。
11月13日(日)、「フェチフェス・アンダーグラウンド映像祭in東京」が開催されました。
今回のイベントは、”ほのかな後ろめたさ”をテーマにした映像の上映会でした。
先に台湾で行われた映像祭に引き続き、新宿でのフィナーレとなりました。
とりわけ、Twitterの事前告知で僕の目を惹いたもの。
それこそが「樹海死体上映&トークショー」という一文でした。
実は司会のLOVSTAR(ろぶすたー)氏とは、9月の「フェチフェス08」で初めてお会いし、面識がありました。
その際、氏の出展するブースの前を、フェチフェス初潜入だった僕は、
まるで磁場に引き寄せられるように通りかかったのです。
そして、陳列された雑誌のオーラに、こう直感しました。
(ここは”見世物小屋”の匂いがぷんぷんするぞ!)
一言断っておくと、”見世物小屋”という言葉は、僕にとって甘美な響きを含んだものに他ありません。
そこでLOVSTAR氏が手がけていた雑誌こそ、富士の樹海における自殺死体をルポした
『アシッド系下痢糞マガジン GEVO』(げぼ)でした。
『GEVO』の驚くべきところは、気取りや芸術性の一切ない、爽快なまでの紙面構成にあります。
ページをめくると、ロープで首をくくった死体写真のオンパレード。
「まるで90年代によく読んでいた雑誌GONみたいだな」というのが第一印象でした。
こんな攻めたスタンスの、愚直でこの上なく即物的な雑誌(※褒め言葉です(笑)が、
今時作られていたんだなという驚きが胸に広がりました。
そして、一見洗練されたフェチフェスの会場にしれっと置いてあることに、ほっと安堵にも近いものを覚えました。
要するに、僕のフェチフェスは『GEVO』で幕を開けたのです。
『GEVO』を衝動買いした僕は、飲みの席で見世物好きの友人にこれを披露しました。
すると友人いわく、「これ、仕込みなんじゃない?」
そんな意見を耳にしたら、LOVSTAR氏の逆鱗に触れるかもしれないな、などと想像しつつも、
意外にも「いや、仕込みだったとしても、それはそれで面白いじゃない」と、楽しんでいる自分がいました。
死体そのものが本物かフェイクかという議論は、適度に切り上げないと、芸を削ぎます。
それらが交差する領域に息づいていることを含めて、『GEVO』の魅力なのです。
だから、LOVSTAR氏と『GEVO』が、”面白ければそれでいい”というスタンスを徹底的に貫いているのは、
見世物的には正しい。
ここでふと、僕の脳裏に思い浮かぶ、ある映像作品があります。
それは、80年代後半に一世を風靡し、賛否両論を巻き起こしたオリジナルビデオ作品
『ギニーピッグ2血肉の華』です。
(後日、製作スタッフの方がフェチフェスに出入りされていると聞かされ、非常に驚きました!)
まだインターネットが普及しておらず、レンタルビデオが全盛だった時代の遺産(レガシー)。
その内容も、全編、ひとりの女性が拷問を受ける姿をただひたすら映すだけの、ショッキングな構成。
しかし、それ以上に印象深かったのは、これが真実かどうかは分かりませんが、この作品が作られたコンセプトにありました。
本編の冒頭で、こんなテロップがスクロールされます。
「本作品は、恐怖漫画家である日野日出志の自宅に、何者からか送られてきた実録の拷問・殺人映像を、 そのまま公開することが不可能なため、再現・演出したものである。」
そして、本編終了後のエンドロールに、その”オリジナル”と思しき映像がほんの僅かな間ですが映し出されるのです。
一体、どこからが作り物で、どこからが事実なのか?
不鮮明ゆえ、不穏な気持ちにさせる映像でした。
当時『ギニーピッグ2血肉の華』に対し、多くのコメンテーターや識者たちは、
「いわゆる大多数のホラー映画は、一見して作り物だと分かるから容認できるが、
これは到底容認できるものではない」
という非難を、少なからず口にしていたようです。
ただ、幸か不幸か(笑)、この作品を目にする機会に恵まれた当時中学生だった僕は、 率直にいえば、いわゆる普通の「ホラー映画」とは比べ物にならないほどのカルチャーショックを受けたことは事実です。
思い返せば、今回の「樹海死体上映&トークショー」、 ひいては「フェチフェス・アンダーグラウンド映像祭in東京」を、僕はあのときに近い期待値を込めて見ていたように思います。
そして、お目当ての「樹海死体上映」が始まり、スクリーンに映し出される樹海探索の動画は、
まるで自分自身が富士の樹海に踏み入っているようで、臨場感バツグンでした!
しかも、当時の状況を振り返る登壇者たちの実況があまりにも和やかで気負いがなく、 そのアンバランスがかえって生々しくさえありました。
発見された当の死体よりも、その現場で菓子パンを頬張り、一服しているスタッフの姿になぜかリアルさを覚えました^^;
”死体現場”という非日常のなかに思いがけず顔を出す、あまりにも見慣れた日常の風景。
それは、前回初めて足を踏み入れたフェチフェスの会場で発見した心地良さでもありました。