BLOOD BLACK 流血がいっぱい~PLEIN SANG~

赤と黒配色の嗜好として最も好まれているカップリングではないだろうか。 BLOOD BLACK ←フェ血スショップ、フェチフェスブースで販売中! 佐藤☆サド監督作品 主演 きくり流血フェチ、血液フェチ(ただし美少女に限る)にとって傑作と言える内容だと思う。 「脱ぐとこは撮らないで///」「めっちゃあやしい人になっちゃう///」 きくり女史の恥じらいがまんざらでもない(笑) っていうか、凄くイイ!BGMはサティ ”Je te veux”  バッハ ”G線上のアリア”これらは偶然にも撮影現場に流れていた曲である。 クラシック音楽と流血 このマリアージュを越えられる視聴覚のシチュエーションは他に存在しないと断言する。生の証である鮮血が流れている背後にこそ、クラシック音楽は”映え”するのだ。サド監督は血液フェチかつクラシック愛好家である。少女の流血をバックにクラシック音楽。此の様な表現はサド監督の趣向なのだろう。 サド監督の流血作品はいずれも映画作品を模したタイトルが付けられてる。BLOOD RUNNERはBLADE RUNNERBLODD DROMEはVIDEODROME BLOOD BLACK これはスタンダール「赤と黒」をオマージュしたのだと思っている。スタンダール 「赤と黒」 赤は”情熱・戦士” 黒は”静止・死・聖職者” を意味する。 主人公ジュリヤン・ソレルは出世欲と情熱的な愛(赤)を抱いている聖職者(黒)。愛の為に犯した罪を受け入れ、最期に彼は死を受け入れる。黒ベースのシックな装いのきくり女史がレグカ流血する姿に、サド監督はジュリアンを重ね合わせたのではないだろうか。 (※ サド監督に後日聞いたところ、この作品とは無関係とのことw) 「赤と黒」といえばカストリ雑誌のタイトルにも同じものが存在する。当時の世相からすると過激すぎて発禁を喰らったことのある成人雑誌だ。 カストリ雑誌のような禁忌とエロティックをBLOOD BLACKからも感じられる。見てはならないモノをついつい見てしまいたくなる感覚、といったところだろうか。きくり女史の白い腿から流れる鮮血に対して、何とも言えぬ性的興奮を憶える。深く切り刻まれた腿は皮下脂肪までも露わにしている。普段は絶対に見ることの出来ない彼女の中身が晒されているのだ。血の滲んだ皮下脂肪からも、この上ない官能的魅力を感じてしまう。血液・レグカフェチの性なのだろう。 フェチフェス フェ血スブースにてポストカード販売予定 実をいうと、BLOOD BLACKはサド監督が酩酊している状態で撮った”酔拳作品”なのである。”サド監督の酩酊” ”偶然にも流れ込んだクラシック曲” ”きくり女史の機嫌” これらが三位一体となって制作された奇跡の映像作品といえる。 「レグカをするなら貝印のカミソリがいい」きくり女史からブランド指定を受けていたが、残念ながら撮影時に用意することが出来なかった。続編を撮らせてくれることを願いつつ、貝印のカミソリを彼女の為にストックしておこうと思う。 オフショットスマホレンズに血液を接触撮影クローネンバーグ監督の真似事である ↓↓↓フェチフェス フェ血スブースにて他のレグカ・リスカポストカードも販売予定!いやぁ、血液って本当にいいもんですね~

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ゆかいなゆかいな輸入DVDでみた映画の世界♪その4

さて、ようやくというか、ここのとこ急に「冬らしく」なりましたね、ここにきて。割と暖かい気温というこの冬ですが、反動ということか平年並みの気温になっていてもめちゃくちゃサミー気がする。 風邪やインフルにみなさん気をつけましょう!特に「インフル」には注意して「うがい」をバッチリかましましょう。 健康に気遣うことがきちんと出来てこそ仕事や遊びにも充実をもたらすというものです。仕事に気合いをいれるのも結構ですが、カラダを壊すようなことになってしまったら元も子もない。働く「機械」じゃないんですから人間は。これは自分はもちろん他人や家族、も同じように大事なこと。そこで「気遣い」のあるかないか?は天と地だ ある経済学者が人間は1日4時間くらい働いてあとは「自由」に過ごすのがちょうどいいなんていってましたが、もしそれでいけるようになったらみなさんは1日の後の20時間をどう使いますか?   もしすること思いつかないからいっそ仕事やってたほうがいいと思う人、なかにはいるでしょうね。でもそんな発想になってしまう人は要注意です。それはなにも考えないまさに「機械人間」になりかかっています!   あまりにも勤勉だから。カラダが不自由で、満足に動けない、とか働けない人がいるとして、まるでそれじゃあ怠け者みたいじゃんか。 でも善良な市民の君はそういうことならば国とかから福祉の援助を受けて生活に困らないようにしなさい。と、ここまでは誰だって言えること、を当然のように言うのだろう。 でも、機械人間はそれ以上言葉がでない、詰まってしまう、そこで急にトイレに行きたくなったかのようにそわそわしはじめ、 「さあ、君はそれでいいだろ、問題は今日の青空のように晴れ渡りきれいさっぱり霧散した。じゃあ僕は仕事に戻らなきゃ!」 とあったかい台詞を残して仕事場へ。てくてく もっと「人間らしい」話はできませんか? 毎日むせ返る電車の揺れを味わうことがなくってもできる「仕事」がもっと社会にないのはなぜなんでしょう?もし自分の子どもに質問されたらどういいますか?せめて一回くらい子どもとかいいがちな「単純でも難しい」質問に真摯に答えてみたらどうですか?簡単にはいかない、実はシンプルな問いに満足に答えるほうが難しいことに気づく。自明の事、あたりまえ、としている中にまで意識を掘り下げなければ絶対に満足した答えは返せない。 どっかのオヤジがバーの片隅で上司のジャイアンカラオケの騒音に会話をじゃまされながら 「それが社会の厳しさよ(ボエーーー♪)甘くはないんだよ生きることは、がっはは(ボエーーー♪)」 と苦し紛れに、でもちょっと卑屈な態度の中にもプライドを加齢臭にまぶして匂わせながら答える… そうですね、対して僕はこう言います。(基本的にこういう台詞、でええええええっきれー!だから)   「そこまで貧弱な発想しかでてこない、酒の飲み過ぎでどす黒い顔色しながら吐くゲップと大差ない台詞、その酸化しきったおまえの半分以上細胞が死滅した脳みそ、それこそが一番の「問題」だ!」 ってね。    (こらっ!ひでーな!)     家畜とまではいわないが、「仕事」という建前があれば少々後ろめたい営業でも「仕事ですから、生活がありますから」というそれだけ聞けば誰にも文句言えない決め台詞があるし、そこに権利を感じ取っているからおのれの行動をどうどうと肯定する。仕事として成立してる、だから金の流れに乗っかっているつまりは人に役立っている。職種は検討選択できるが自己主張はだいたいその辺が限界。 […]

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ゆかいなゆかいな輸入DVDでみる映画の世界♪その3

マリオバーヴァの耽溺世界   撮影のエンジニアの時代 初期のマリオバーバ(伊)撮影監督作品を今回はご紹介します。フェチフェスの嗜好ということにこだわってここまで残酷血みどろ系の映画を立て続けに取り上げましたので、この辺でひとまず、血なまぐささの控えめな、それもむしろお上品な映画ともいえる「I Vampiri(1957年)」 監督/リカルド・フレーダ マリオ・バーヴァ 撮影・特殊効果/マリオ・バーヴァ   実のところこちらのマリオバーヴァ監督の作品をBlogの筆頭に、一番最初にもってくるぐらいなところなんですが。というのも私bavamarioと名前を拝借しているのは全ての入り口となったのがこのイタリアの監督の作品であったということが理由なのですから。 というわけで、特に今回はこの監督の初期の作品「I Vampiri」といういわゆる、ヴァンパイヤもの(上記にあるように、監督はリカルドフレッダさん、マリオは並列されているのですが、撮影、特殊効果のクレジットです)の走り、吸血鬼の原型的なストーリーが展開されます。 というわけで、マリオバーバコレクションの中にこのタイトルは明示されない、なので知らない方も多い。実質は絵作りとしての技術が十分反映されている、マリオ作品といっても十分に納得、   初期は永遠の命とか、仲間を増やすために人ののど元に「かみついた」わけではございません。 それは、いまでいう「血液」の病、に対処できない人々、輸血の無い時代にあわれな病人をどうやって救うか、という切実なる思いというのがまずありき。そして血液をもらえばもちろん相手は「死んで」しまう。 だから「特権階級」の手段、秘密裏に行われている。 でもって次第にテーマは女性が美しさを失わない方法として若い娘の血をいただいちゃうというエゴイストのアンチエイジングの願望へと質が変換してゆく。 この映画では、もう化け物化した女吸血鬼のお話になっている。 あ、それにあのエイリアンの造形へも参考にされたとかの「不思議な火星人の干物」みたいなオブジェがバンパイヤのお屋敷にはあちこち飾られていて秀逸。 そういえばこれってどこかで見たような…干物?ひもの?ヒモノ?…どこでみたんだっけ   あ、これこれ! いたいた! ガンギエイ(英名:Jenny Haniver)です。   うっしし 雰囲気でエキストラ採用! […]

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ゆかいなゆかいな輸入DVDでみる映画の世界♪その2

えーさてー、みなさまぼちぼち寒くなってまいりました、いかがお過ごしでしょうか?風邪をひかない程度にご自愛くださいませませ。 コメントコーナー、一回目からさして間も空けずに第二弾!といきます!勢いつけてガンガンいくぞー!…。 →と、このように始めの頃は威勢がいいのがいつものパターン ゆかいなゆかいな輸入DVDでみる映画の世界その2。はじまりはじまり。パチパチパチ……パチ。 ここでは誰もが知っているヒット作ではないややマイナーで、でも監督のカラーがしっかり出ている、そんな映画をチョイスしていきます。さらにソフトも海外版でしか、ゲットできないような通の好む、あるいは国内版は以前出ていたとしてもさして意味もなく「廃盤」になってしまってまず手に入らないものという特殊な作品をなんとか英語字幕とかで気合いで読みこんでいきます。もちろん片手にリモコン持って英語の字幕が追いきれないときは瞬時に一時停止→ゆっくり読んで→再生…この繰り返しという楽しいというか「修行」のような鑑賞になることも時には。しかし、分からないまま再生し続けてますます分からない…となる可能性は非常に高い。なのでみんなも一時停止を使用してでもキチンと流れを追いましょう!というか、私の映画コメントをがっつり読んでからみれば大分わかりやすいですよー♪ では今回ご紹介の作品。 あの有名なキングオブゴアの称号をもつダリオ・アルジェント監督作品。もちろん「サスペリア」などのウルトラヒット作でホラー好きでなくても知っているまさに巨匠です、が、その中で海外のテレビの企画番組「マスターズオブホラー」シリーズで放映された「PELTS」(毛皮)をご紹介いたしますです。実際見ると分かりますが、初期のドラマ性の高いサスペンス=ジャッロという=要素はどこへやら、とにかく「グログロのゲロゲロのグチャグチャのヘロヘロ」としか表現のしようがない中身で、こいつはへたすると視聴者を「気分悪くしようと意図している」んじゃないかという疑いすら湧くほど悪意に満ちた作品。しかしあえてそれをご紹介。          じゃーん…           ダリオアルジェント  「MASTERS OF HORROR: PELTS」(愛と欲望の毛皮) (2006)     血みどろ系の好きな奇人変人変態さん必見!お話自体はさしてどうということもなく、なんでもアライグマの毛皮をお目当ての女にプレゼントしていい思いしてやろうというスケベおやじの奮闘劇。 ではまずは、ここで悪魔のように恐ろしく表現されてる「アライグマ」とはどんな生き物か参考に、よた話として…「家屋や寺社の屋根裏への侵入、勝手にねぐらとして利用することによる汚損が報告されており、歴史的建造物が被害を受ける例もある自分で穴を掘らずになにかしら巣に利用できそうな場所にずうずうしくいすわる」。 とまあ、見た目と違ってかなりの害獣らしい。まるで貧乏すぎて友人の下宿にいすわる上京学生だ…おい!ずうずうしいぞ!新井! ちなみのこの作品では夜中に墓場に群れが現れてそこに狩りの業者が捕獲にくる。しかし夜中に墓場って、なんでだ?コワ。廃屋みたいなとこに住み着くらしいから、どうやら墓場をいい住処にしてるのかな。確かに入り組んだ構造で人が夜はまずこないと考えればなるほど納得。廃屋とかに住んで屋根裏とか穴があればそこにもぐるらしい、それが墓場でってことは…なんか気持ちわるいな。 よくアニメの主人公になって人気が出て、ペットになるとか思い込んでる人とかいるらしいがあぶない。人間の感情とか言葉とか使うやたらに可愛いキャラで登場させたりとか、性質も柔和とか思い込んでたらホントあぶない。いやアライグマじゃなくそういう人のほうがね(笑) 最近も突如秋葉にアライグマが現れて、木に登って大捕り物ってニュースがあったな…。捕獲時にかまれたらしいぞ警官が。 どうも、本当はこうらしい… あ、関係ないけど似たようにキャラを勘違いされがちな生き物に熱帯に住んでる猿の一種「アイアイ」っていうのがいるんだけど、みんなー知ってるかな?可愛い童謡に出てくる「アイアイ」ってしっぽがながーいおさるさんだよー♪こんな感じ。 でーもー実際は地元の人々の間ではかなりぶきみな生き物で恐れられているのだ。 ハイこれ   こわっ! […]

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ラブでライブ! なガチコスプレでちょっとまってて~

ラブでライブ! なガチコスプレでちょっとまってて~

 昨今、コミックマーケットに代表される同人誌即売会などで、AVメーカーではない、個人や同人サークルが製作したコスプレAVと云うものが頒布されるのが当然の事になっていますが、筆者が同人誌即売会に参加し始めた四半世紀前には、コスプレとエロを結びつけるのはある種ご法度に近い雰囲気がありました。

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ゆかいなゆかいな輸入DVDでみる映画の世界♪

        さてと、初回なので気合いを入れてかくぞー! ということで、フェチフェスBlog映画部門を書かせていただきますシマノと申します。寄稿する時には別名「BAVA MARIO」を名乗っております。以後お見尻おっきーを。このペンネームはイタリアのゴシックホラーの巨匠マリオバーヴァ監督より拝借&リスペクト。こちらのBlogでは映画のgp紹介!さて、海外輸入DVDの中には日本で公開すらされていない映画で、または新作でも公開されるかどうかすらまだ現時点でははっきりしない微妙な新作から、これはぜひとも見ておくことをすすめたくなるような素敵なタイトルを選りすぐり楽しくみなさんにご紹介していきます。 これから公開されるかわからない、とは海外の制作国で公開されても日本ではどうなるか未定のものもいっぱいあるわけですし、それを先行して見るとはひょっとして一般的に日本国内で登場する前に個人で「先行ロードショー」しちゃうってこと!これってすごいでしょ。そして今回の紹介タイトルはこの流れの例となります。そう、日本で「爆殺都市」などと銘打つことはや一年くらい前から見てましたよーぼくは!  なるべくここではフェチフェスに繋がる「フェチをテーマにした」特殊な作品?を僕の視点で選んで、というか勝手にフェチ目線で眺めて作り手の意図と関係なくてもオッケーという「マイルール」を設定して独断と偏見をもって解説しようともくろんでおります。 最初からマイアピールですみませんが、知る人ぞ知る奇人と変人の集う街、西新宿のビデオマーケット(輸入DVD小売り店)において時々レジなんぞ「ぺちぺち」打ったり、パソコンの画面を見入っては、なにごとか、「にひひ」などとほくそ笑んでいるの店員はそう、「この僕」です。 実はこの店舗、マニアなホラー、SF、カルト、お色気、等々好きな人には好きなDVDとブルーレイが「たっぷりんちょ」と売られている小粋な店です、ホムペもあるよん、大抵映画秘宝ムック版に広告のせてます。実は僕のライフワークの一環としてなんと自分で自宅のプリンターで印刷した 「僕の夏休み自由研究 映画の生態観察」 という映画のコメント冊子と 「赤ちゃんだけは天使が救う論」 ※こちらは次回の東京文学フリマ、において出品予定です!!内容はドイツ観念論ヘーゲル弁証法の発展形態としての物質と乳幼児における感覚的関連性よりひもとく宗教的精神の発動の潜在性及び必然性試論 という哲学論文みたいな内容の冊子を大胆にも「販売」しております。新宿に来たらよってみてちょ。あ、そうそう「まいちゃん」も売ってますよー♪もちろん。では自己紹介と宣伝はこのくらいで、ぼちぼち本題に…っと。てへへ。     「テーター・シティ 爆・殺・都・市」       「TAETER CITY」                 2012年作品      あの「アダムチャップリン」でも知られる イタリアの監督エマニュエル・デ・サンティ さて、初回の記念すべき紹介となりまするは、イタリアの映画監督で「日本のアニメ好きのおたく」という風変わりな趣味と作風をもつエマニュエル・デ・サンティ監督作品「TEATER CITY」。実はこの作品の一作前に「アダムチャップリン」という実写版「北○の拳」とよぶべき作品がありましてこれがウケたんでビデマで独占的に2作目も取り寄せたところ、またまた面白いんですねこれが。 INTRODUCTION …えーさてー、今の時代「近未来20??年」といってももう時代設定が微妙になってきていて80年代には2010近未来のこと…とかいけてたんだけどもう過ぎちゃってるし。ということでいっそのこと、もう「今から100万年後」とか設定しておけば当分は安心だよ。 こちらの作品、お話はというとウルトラ未来な都市で一番の人類的問題は犯罪の横行(いつもじゃんか)、あいもかわらず法律は破られ、安全なんかない世界、凶悪犯罪への対策は犯罪者のもっているある素質DNAを特殊な電波で見破って破壊する(人間ごと)ことという過激な手段に行き着いている。 これが「シードシステム」という犯罪者に高確率で含まれる特定の遺伝子を見分けてその次には攻撃性を高揚させる電波(どんなだ)も発信!それも他人に向かってではなくそいつ自身に向かって。そう、悪い奴らは「勝手に自害」して死んでくれるという画期的?なセキュリティが街の平和を保っている。 […]

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ロープアーティスト一鬼のこ×つながる赤い縄の世界 -『Red』の撮影現場へ-

ロープアーティスト一鬼のこ×つながる赤い縄の世界 -『Red』の撮影現場へ-

先日都内のスタジオにて、とある撮影が行われた。緊縛師、そしてロープアーティストの一鬼のこさんの新しい作品の撮影である。彼は現在、日本のみならず海外からも注目されている。その技術と独自性で表現された様々なジャンルの作品たちは多くのファンを集めているのだ。そんな鬼のこさんの作品が生み出される現場を覗ける機会はめったにない。私は早歩きでスタジオに向かった。 扉を静かに開くと、はじめに目に飛び込んできたのは真っ白い空間に浮かぶ赤い縄だった。そしてスタジオのその中心に一鬼のこさんの姿が在った。 この日は大掛かりな撮影ということで早朝から多くのスタッフが集まり共に作業に取り組んでいた。スタジオ内には大型のタンカンが設置されてる。これから沢山の縄を吊るし支えるためには重要な骨組みだ。さらに、今回のアートに欠かせない被写体となるモデルを更に際立たせる存在にするためにヘアメイクやスタイリストも本格的に導入されたという。各々が作業を進める中、スタジオの天井から赤い縄がスルスルと降りてきた。縄の先端に透明の糸が付いているので、だから、まるで宙に浮いているように見えるのだ。 スタッフが天井から手作業で降ろすのだが、その位置を鬼のこさんが細かくチェックしイメージに近づけていく。以前、自身の創るアートでは縄の位置や組み方を細いところまでイメージしていると言っていたのを思い出した。繊細な過程のなかに、強いこだわりを感じられる。 撮影ではスタイリストとして緑川ミラノさんが参加されていた。原宿にあるセレクトショップBaby Doll Tokyoのオーナーを務め、またその商品は各界の著名人から愛されている。そのようなスゴ腕の女性が鬼のこさんの作品にさらなる魅力を加えていくのだ。また、モデルに起用された街子さんは原宿系ストリートファッション誌KERAで人気を博した読者モデルの経験を持つ。現在はモデル業の傍ら女優業にも力を入れ、今回の撮影も舞台を終えたばかりで参加をしてくれた。スタイリッシュな身体のラインと存在感のある美しさがどこから見ても絵になっていた。   カメラを持つ鬼のこさんは一段と真剣な表情だ。というより、スタジオでの鬼のこさんはずっといつもと違うように思えた。普段、気さくで物腰の柔らかい鬼のこさんは縄を持つと顔つきが変わる!と言われているが、この日もまた違う凛々しさを感じた。緊張感と真剣さが伝わる。 自ら動き、脚立に登り、天井に上がり、そのシーンを逃さない。  モデルを作品のイメージに近づけていく各分野のスタッフは皆、鬼のこさんに積極的に自身の意見を提案するやりとりが印象的だった。 最初のカットを終えると次の撮影に向けて大規模なロープインスタレーションが始まった。インスタレーションとは現代美術用語で、作家の意向で空間そのものを変化させ、その全体を作品として体験させる芸術のことである。 大きな脚立が運び込まれ、かなり高い場所から赤い縄を結び繋ぎ合せていく。  時々脚立を降り、全体像とバランスをチェックする鬼のこさん。手際よく作業を進め、指示を出す。少しずつ少しずつ縄の量が増え、大きな『何か』になっていく。見上げる取材陣が見守るなか、進んでいくその過程は見ていて全く飽きなかった。しかし、とても繊細な作業なだけに並ならぬ忍耐力が必要だと思った。見ている方は全くどうなるか想像もつかないが、どんどん縄の網目は細かくなり立体的な形になっていく。鬼のこさんの創造物が姿を現していく。  もはや、別の空間のように感じた。以前の作品からも迫力は感じる写真はあったが、やはり実際に目の前にすると迫力が物凄い。まるで美術館で大きなアートを見ている様だ。写真だけではなくロープアートも実際に見る事の出来る機会が欲しくなる。 この小さな一本の縄をここまで大きく壮大に変え、心動かす術を持つ鬼のこさんは間違いなく【ロープアーティスト】なのだ。 スタジオ内のスタッフが奮闘するなか、裏でも奮闘するスタッフ達がいた。 次の衣装準備や使い終えた縄の片付けなどを進めている。このように協力しあうことは、作品を創る上で決して欠かせないシーンだ。ここにいる一人一人が鬼のこさんの作品に欠かせない存在なのである。 ヘアメイクを担当したChiakiさんはフェティッシュマガジン『IN FAMOUS MAGAZINE』をはじめ世界的に一目置かれているパーティ「モントリオール フェティッシュ ウィークエンド」のファッションショーにてKurage、パトリスカタンザロのヘアメイクとして参加した一人だ。その活躍は国内外にも渡る。 モデルの街子さんは普段はショートカットだがヘアメイク後の髪型が凄かった。 イメージに合わせた不思議な世界観のある髪型は、和が漂う宇宙から来たプリンセスのようだ。ちなみに95%地毛ではない事が驚きだ。これぞChiakiさんが持つ技なのだ。また、きちんとお見せ出来ないのが残念だがミラノさんが担当した衣装がどれも素晴らしかった。コルセットとレースが可愛く美しく、長いスカートはその場で手際よく作られていた。セットに合せて臨機応変に対応していくその仕事ぶりに感動した。鬼のこさんの作品をより魅力あるものにしていったのだ。ひとつの作品には鬼のこさんを始め、沢山のスタッフの努力や力が秘められているのである。 […]

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