デザインフェスタ vol.41~<その3>写真の世界~Spiritual Garden・ロリィタ弐拾八號セピア・十二の鍵
デザインフェスタ会場内を歩いていると、私の感性を刺激してくる作品が視界に飛び込んでくる。
――この作品、ステキだなぁ……
そう思ってブースに立ち寄り、「とてもステキな作品ですね。ところで、私はフェチフェス広報の……」と私が言うと、「フェチフェスなら出展したことありますよ!」とアーティストさんが応えることもしばしば。そうした嬉しい出会いの数々を紹介したい。
「死体」「ゴスロリ」といった言葉の並ぶのは、フェチフェス04にも出展経験のある『Spiritual Garden』ブース。フェチフェスでは、”グラビアx血” をテーマにした非日常的なグラビア写真集を頒布したサークルさんだが、今回のデザフェスでは新たな試みにチャレンジしたという。
「新作の『Under Sociality』では、社会問題をアングラ風に表現しています。社会性のあるメッセージを込めた写真集で、考えさせられる楽しみも味わえるはずです」と熱く語るのはサークル代表のYAS.さん。新作には、薬物問題や人身売買、使い捨ての世の中など、現代社会を取り巻く諸問題に警鐘を鳴らす写真作品が収録されている。
私も『Under Sociality』を見せていただいたが、何度もページを捲る手が止まってしまった。刺激的な写真が目に飛び込んできた後、その意味を考えようと脳ミソ がフル回転し始めるからだ。「綺麗」「怖い」といった表面的な感情を喚起するだけではない重みのある写真集だった。
『ロリィタ弐拾八號セピア』ブースにも私好みの作品が展示されていたので、私は思わず売り子さんに声をかけてしまった。すると、彼女たちは「私たちもフェチフェスに出たことがあります!」と目を輝かせた。
こちらのお二人は、過去のフェチフェスでも売り子さんとして大活躍したまちこさんと赤刃鳴さん。私が特に気になったまちこさんの衣装は透明なレインコートだ。彼女の周りにはフェティッシュなオーラが漂っていた(笑)
こちらに並んでいる作品はいずれも新作で、「ゴスロリ」「百合」などをテーマにしているという。私がそれらを眺めていると、サークル代表のエースのチョーさんがブースに戻ってきた。私は早速チョーさんにお話をうかがった。
「一分の隙もない写真を撮るために、小物にもこだわっています」は言うチョーさんは、ご自身の作品に対する思いを話してくれた。「私は、写真で『かわいい』ものを作りたいと思っています。ただ、『かわいい』は、人によってロリだったりグロだったりで様々です。そうした中で、お笑い芸人が芸で人を笑わせるのと同じように、『かわいい』という芸で人を楽しませたいんです」そんなチョーさんの思いは撮影現場も明るくする。「新作の撮影では、ずっと爆笑していました」写真の女の子たちは皆、表情が柔らかい。その理由がこうして明らかになったのだ。
チョーさんと話し込んでいると、そこへ写真集の被写体となった福田もかさんが登場。セーラー服がキュートなもかさんを一枚撮影させていただいた。
フェチフェス3.5に出展経験のある十二の鍵さんは、今回「常寂光土」というタイトルで出展。
十二の鍵さんは、ボディペイント作品でも定評があるが、今回はペイント・オン・フォト作品(写真の上に絵を描く技法を用いた作品)に挑戦。阿佐ヶ谷サキさんとゴトーヒナコさんのお二人とのグループ展示だった。
「常寂光土」とは、仏の悟りである真理そのものが具現している浄土世界を意味する仏教用語だ。仏教では、心の持ちよう次第で現世が浄土になると考える。そのコンセプトだけ借りて、仏教から離れたオリジナリティーを作品化したのが今回の展示である。
「写真は現実世界を表していて、その上に絵を描くことで作家さんの思い描く世界を実現しようとしています」と語る十二の鍵さん。彼とともに作品制作に臨んだゴトーヒナコさんは、「生まれ変わり」をテーマに活動するアーティストさんだ。彼女は中世の絵や古典への憧れを大切にし、そこから得た着想を「常寂光土」に込めたという。
今回は本格派のアーティストさんたちを紹介したが、いかがだっただろうか?彼らが作品に込めた思いを少しでも感じ取っていただければ幸いである。(続く)
・デザインフェスタ公式HP:http://designfesta.com/
写真・文=みみずく