デザインフェスタ vol.41~<その4>パフォーマンスの世界~蠱惑魔術師・東京棲んでるガールズ・TOKYO ZENTAI CLUB
デザインフェスタ会場4階の通称「暗いエリア」では、ところどころ人だかりのできているブースがある。「何をしているのかな?」と覗いてみると、そこでは緊縛ショーが行われていた!
『蠱惑魔術師』ブースでは、女性緊縛師のDariaさんがお客さんを縄で縛っていた。こちらのブースでは、お客さんが自らの希望で緊縛を体験できるのだ。コースは、「上半身のみ」「全身」「吊り」の3種類。観客は写真撮影OK。公衆の面前で緊縛されることで、お客さんは非日常の感覚を味わえるという。
『蠱惑魔術師』さんは、フェチフェス05でも体験緊縛を行い大好評を博した。
緊縛ブースの隣では、写真集『少女家具計画』と緊縛缶バッジも販売していた。缶バッジは完売してしまうくらい大人気だった。
コラボ出展していた『よいコの!』さんは、独自の可愛らしさを追求する注目のファッションブランドである。今回のデザフェスでは、猫耳ハチマキ「ネコハチ」&体操服なのにセーラー襟!?「セーラー体操服」を販売。ネコハチは、購入後すぐに着用すると500円引きになるという嬉しい値引きがあった。
さて、「暗いエリア」の最深奥は、異様な熱気に包まれていた。『東京棲んでるガールズ』さんのブースだ。
『東京棲んでるガールズ』さんは、東京に棲んでいる地方出身の女の子達によるアートユニットで、フェチフェス常連出展者だ。メンバーは、リーダーにして麗しき女性緊縛師・ハララビハビコ様、広報&おしゃべり担当・しんろくさん、長身の美人アシスタント・ともるさん。
私は、フェチフェス03で初めて『東京棲んでるガールズ』さんの緊縛ショーを観て、そのまま彼女たちのファンになってしまった。同じような経緯でファンになった人たちも多く、そうしたファンがドッと詰めかけるので、ブース前は大混雑する。そのため、デザインフェスタでは、スタッフの皆さんが観客の誘導などを行う。今回は、イケメン男子のわんこさんやフェチフェス常連出展者の男の娘・ゆやさんらがお手伝いしていた。
『東京棲んでるガールズ』さんの体験緊縛は、ハビコ様がお客さんを縛っている間、しんろくさんがしゃべりまくって盛り上げる、というユニークなスタイルが売りだ。ストイックな緊縛と軽妙なトークとが織りなすショーは、笑いの絶えない、明るくポップなHENTAIアート。一度観ると病みつきになってしまう中毒性がある。
今回、私は友人と一緒にブースへ足を運んだ。友人は、生の緊縛を見るのが初めてだったが、すぐに虜になってしまった。「『東京棲んでるガールズ』をまた観に行きましょうよ」という彼の強い要望もあり、私たちは2回体験緊縛を鑑賞させていただいた。その2回とも、男の子が縛られていた。
「何をしてほしいんだい?お客さんの方を向いて、大きな声で言いなさい!」
しんろくさんの言葉責めが続く中、ハビコ様の縄が男の子の体を宙に吊り上げる。身動きの取れなくなった男の子は、観客の視線にさらされて恥ずかしいはずなのに、なぜか表情が和らいで笑みさえ浮かべていた。まさにHENTAI!!
『東京棲んでるガールズ』さんの魅力は、にぎやかな緊縛ショーだけではない。グッズも充実しているのだ。ふんどしやTシャツ、ポストカードなどのオリジナルグッズに加えて、KITANYAさんとのコラボで実現した、ハビコ様をモデルにした緊縛ストラップも大好評。
アクセサリーや複製原画など、ハビコ様の気持ちがこもった作品は、彼女の繊細な感性が生み出したアートである。緊縛師でありアーティストでもあるハビコ様の才能が垣間見える作品たちだ。
「暗いエリア」を出て明るい空間を進んでいくと、非日常の光景が視界に飛び込んできた。『TOKYO ZENTAI CLUB』ブースだ。
5月初めには、原宿で「ZENTAI ART」を開催して大盛況だったTOKYO ZENTAI CLUBさんは、デザインフェスタにも毎回出展している。今回は、藤塚みゆさんが売り子を務める。
「私は拘束が大好きなんです。今回ゼンタイ(全身タイツ)を着ましたが、締め付けが足りなくてコルセットで更に締め上げています」
みゆさんは、ご自身のフェティッシュな面を明るく語ってくれた。彼女とTOKYO ZENTAI CLUBさんのコラボROM『Miyu Fujitsuka × TokyoZentaiClub』は初のお披露目。カラフルなゼンタイに身を包んだみゆさんの可愛らしさ・美しさを堪能できる写真集だ。
同行していた友人がプチゼンタイ体験にチャレンジ!彼は、ピンクのゼンタイを腕に着用。みゆさんの手でスリスリされたところ、独特の感触に心地よさを感じたようだ。
デザフェス恒例の企画として面白いのはゼンタイ落書きコーナーだ。ねずみこさんが着用した白いゼンタイに、お客さんがマジックでいろいろと書き込む。最初は真っ白だったゼンタイが、文字や絵で埋まっていく。
「いろんなイベントで落書きをやっていますが、イベントごとに味が出て面白いですね」
そう語るのは、プロデューサーのタムラセイワさん。落書きされたゼンタイは将来展示することを考えているそうだ。「面白い展覧会になるだろうな」という期待を胸に、私と友人も白い人間キャンバスに絵を描いた。
今回のデザフェスは、ゼンタイを怖がる人はほとんどいなくて、フレンドリーでノリのいいお客さんたちばかりだという。「宇宙人だ!」と言って子どもが笑顔で駆け寄ってくることもあったとか。 テレビ出演やイベント参加など、TOKYO ZENTAI CLUBさんの地道な活動の結果として、ゼンタイが社会へ浸透しつつあるのだろう。
全4回にわたってフェチフェス出展経験者を紹介し、デザインフェスタの魅力をほんの少しだけ紹介した。これだけでは、デザフェス全体の楽しさが十分には伝わらないであろう。読者の皆さんには、実際に会場へ足を運んでもらいたい、と思う。きっと自分好みのアートと出会えるはずだ!(了)
・デザインフェスタ公式HP:http://designfesta.com/
写真・文=みみずく