エロチカジャポネスク Vol.12<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

暗闇で蛍光色の光を放つ縄。その光に照らし出された肉体は、幽かな輪郭を浮かび上がらせる。それは「緊縛」の固定観念を打ち破るアート表現だ。

 

私は、今年3月のデパートメントHで初めてサイバーロープを見て衝撃を受け、以来一鬼のこさんのことがずっと気になっていた。一鬼のこさんは、フェチフェス06でも【RED ROPE ART WORK『Cell』】を披露したが、会場は大混雑。とても取材に入れる状況ではなかった。そして、8月26日に cafeATLANTIS で開催された「エロチカジャポネスクVol.13」にて、私は再びサイバーロープを目の当たりにしたのだった。

 

女性を輝かせる縄に込められた「つながり」の表現

エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~ エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

サイバーロープが始まると、ステージ奥から一鬼のこさんが現れた。一鬼のこさんは、まるで犬の散歩をしているようだった。手には縄がしっかり握られていて、その縄の先には一人の女性の姿が……

縄につながれた女性は、ヌード写真などで有名な「特殊モデル」の七菜乃さん――フェチフェス06では、リョナブースにてトレヴァーブラウンさんのコスプレをする、という前代未聞のアート表現が大好評だった。そんな七菜乃さんが、エロチカジャポネスクでは緊縛モデルを務めたのである。

エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

七菜乃さんの上半身に縄をかけていく一鬼のこさん。観客席のあちこちからは、「七菜乃さん、かわいい」という声が上がった。

エロチカジャポネスク Vol.12<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~ エロチカジャポネスク Vol.12<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

白煙がステージ上を覆う中、一鬼のこさんの縄が七菜乃さんのスレンダーな肉体を絡めとっていく。その縄からは、女性をいたぶろうという嗜虐心ではなく、女性の美を引き立てようという優しさが伝わってきた。

私が感じた優しさは一体何に由来するのか?

デパートメントHで初めてサイバーロープを目にして以来私の中にくすぶっていた疑問は、一鬼のこさんの熱い思いを聞くことで納得へと変わった。

「サイバーロープで一番伝えたいのは『つながり』です」と語る一鬼のこさん。「縄を『縛り』という認識で捉えるのではなく、『コミュニケーション』――別の言葉では『コネクション』と言いますが――として捉えてほしいですね。とはいえ、いきなり裸の姉さんを縛っても、見ている人は誰もそれを『つながり』だとは思わないじゃないですか?そうではなくて、女の人の体のラインに縄のラインが入っていくことで、『縛ることは綺麗なことだ』と感じてもらいたいんです」

エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~ エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

全身に縄がかけられた七菜乃さんは宙に吊るされた。七菜乃さんの繊細な肌と蛍光色の縄のコントラスト、「つながり」に対する一鬼のこさんの思い……それらが相俟って、一つのアート表現が誕生しようとしていた。

 

「縄ってカッコイイ!」から始まるアート&ファッションの世界

エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~ エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

照明が落ちて真っ暗になった空間。蛍光グリーンの輝きを放つ縄。七菜乃さんの身体のラインが闇に浮かび上がると、観客の間からは「きれい」「すごい」という声が漏れた。

私は、インタビューのときに一鬼のこさんが語った「サーバーロープで二番目に伝えたいのは『縄ってカッコイイ!』ということです」という言葉を思い出していた。

「『気持ち悪い』『エロ過ぎる』と思って、縄に対してブレーキがかかる人は今でも多いですね。そういう人たちでも、慣れてくると縄の良さが分かってきます。サイバーロープを通して、若者たちが受け入れやすい形で縄の魅力を伝えたいですね。そこから徐々に緊縛の世界に入っていってもらえれば、と思います」

エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~ エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

一鬼のこさんは、縄をほどいたり縛り直したりして、何度も七菜乃さんの見せ方を変える。縛り方一つで、七菜乃さんの美しさが変わってくるから不思議だ。

エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~ エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

 

「縛り」に対する固定観念を打破するために

「縛り」というコンセプト自体は、これまでもボンデージファッションやハイファッションの中に取り入れられてきた。あくまでも「オシャレ」として、フェティッシュファッションは受容されてきたのだ。一方で、「日本では緊縛に対する差別をまだ感じますね」と一鬼のこさんは語った。コンビニに緊縛系の本を置けない、テレビでは「緊縛」という言葉自体がNG……こうした現状を変えるべく、「緊縛への固定観念を無くしたいんです」と一鬼のこさんは語気を強めた。

「緊縛に関しては、世界の方が認知は早いですね。5年前、初めて海外で縄を教えたんですよ。そのとき、縛られた人たち30人のうち28人は写真NGでした。今ではこれが逆転して、30人中28人が写真OKになりました。海外では、『縛り』がアートとして認知されてきたんです。メジャーなところから『緊縛ショーをやってくれ』と言われることも多くなりましたね」

エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~ エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

ステージ上では、仰向けに吊るされた七菜乃さんにピンクの縄がかけられる。それらの縄は観客席にも投げられた。一鬼のこさんと七菜乃さん、そして観客全員でサイバーロープの世界を作り上げるという一体感がそこにはあった。これこそ人と人との「つながり」であり、単なる緊縛プレイの枠を超えた、近未来を予想させる新感覚のアート表現だった。世界を熱狂させる「かっこよさ」がエロチカジャポネスクの会場で実現したのだ。

エロチカジャポネスク Vol.13<その1>~サイバーロープ 一鬼のこ×七菜乃~

エロチカジャポネスクVol.13のトリを飾ったサーバーロープは、熱気と興奮が渦巻く中、無事に幕を閉じたのだった。

 

一鬼のこ写真展『RED』へと続く熱い思い

世界を股にかけて活躍する一鬼のこさんは、我々には手の届かない存在に感じられるかもしれない。しかし、多くの人たちに感動を与えるパフォーマンスを支えているのは、あくまでも一鬼のこさんの「人としての魅力」である。

 

インタビューで印象深かったのは、一鬼のこさんが最後に語ってくれたエピソードだ。

「昔、高円寺の文房具屋で、可愛い女性店員さんと出会ったんですよ。そのとき俺は、『緊縛師』と書いてある名刺を渡しました。そうしたら、その女の子にドン引きされたんですよ。『こっちは自信をもって緊縛をやってるのに……』とがっかりすると同時に、『緊縛への固定観念を無くしたい!』と強く思いましたね」

「縛りをアートやファッションにしたい」という一鬼のこさんの熱い思いの根幹には、実はプライベートな経験があったのだ。私はその意外さに驚く一方で、一鬼のこさんのことをますます好きになってしまった。

 

一鬼のこさんの人間らしい一面を知ると、サイバーロープの背後にあるものも見えてくる。七菜乃さんを縛る一鬼のこさんの表情はいつも穏やかだったし、一鬼のこさんに縛られる七菜乃さんの表情も安心しきったものだった。2人の表情からは、お互いに対する信頼が読み取れる。そして、その信頼関係を支えるものこそ、「人としての魅力」に他ならないのだ!

 

さて、エロチカジャポネスクを盛り上げた一鬼のこさんだが、その熱い思いは、9月9日から13日にかけて神保町画廊で開催される「一鬼のこ写真展『RED』」へと受け継がれる。写真という媒体で表現されるサイバーロープの世界にも期待したい。

 

・エロチカジャポネスク公式Twitterアカウント:https://twitter.com/eroticajapone

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・一鬼のこ Kinoko Hajime Official HP:http://shibari.jp/

・一鬼のこ公式Twitterアカウント:https://twitter.com/hajimekinoko

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写真・文=みみずく

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