フェチフェス3.5 ~ニンゲンヤメテミル?~ メタモルフォーゼ 変身願望(ファリー・人獣、ラバー、ゼンタイ、マスク、人体改造)の宴
2014年4月13日。春の日差しが気持ち良い午後、西新宿スタジオHayuru で「フェチフェス3.5」が開催された。
今回のフェチフェスは、数字の後ろに「.5」が付いている。通常のフェチフェスがオールジャンルであるのに対し、ジャンルを絞って小規模で開催される場合に「.5」となる。たとえば、フェチフェス2.5は、「リョナ(=猟奇愛好)」をテーマに開催された。このとき会場は、血まみれの人達とそれを愛でる人達でごった返したようだ。
フェチフェス3.5のテーマは「メタモルフォーゼ」だった。会場内には、ラバー、ゼンタイ、ケモノ、人外……変身願望を実現させた異形の者達が一堂に会していた。足を踏み入れるのをちょっと躊躇する雰囲気があったが、いったん中に入ってしまうととても居心地がよかった。そんな異形の宴を覗いてみよう。
まずは、「TOKYOZENTAICLUB」ブースから――
こちらのブースでは、DVDやグッズの販売だけでなく、ゼンタイ(全身タイツ)の試着コーナーもあった。私も、手から腕にかけての部分的なタイツで、ゼンタイの触感を体験させてもらった。
ピンクのゼンタイが私で、カラフルなゼンタイがねすみこさんだ。「手フェチ」だというねずみこさんが、ゼンタイ着用後の私の手を撫でてくださった。ぴっちりとした全身タイツが肌に張り付く感触は気持ちよく、その上から他の人に触られると不思議な気持ちになるのだ。ゼンタイの魅力を堪能させてもらった。
ゼンタイといえば、ボディペイント作品を手掛けるアーティスト・十二の鍵さんのブースにて、ライブペイントを見せていただいた。
ゴールドの全身タイツに絵筆が走り、少しずつ絵が完成していく。光沢のあるゼンタイのフェティッシュな質感が、十二の鍵さんの美しい絵と出会ったとき、思わず息を呑んでしまう妖艶さが生まれるのだ。ゼンタイとアートの融合という貴重な現場を見せていただいた。
会場内には、包帯グルグル巻きのガチャ●ンやセクシーな蜂女といった、もはや人間ではない方々がウロウロしていた。それもそのはず、フェチフェス3.5では、「メタモルフォーゼコンテスト」略して「メタコン」が開催されていたのだ。メタコン参加者は6人――彼女達は、いかに人間離れしているかを競い合っていた!
そんなメタコンの優勝者はこの方――
現代社会に現れた妖狐・紅姫さんだ。彼女は、本物の狐の毛皮をまとい、顔を狐と同じ形になるように尖らせていた。フェチフェス2.5では点滴ガールとして売り子さんをしていたが、3.5では「狐の嫁入り」をテーマに本格的な狐コスでの参戦だ。そんなお狐様のパワーは絶大で、メタコンでは2位に大差をつけて優勝に輝いたのだ。ちなみに、私と連れも、迷わず紅姫さんに投票した。
メタコン参加者以外にもケモノがいた。
「Rim’sDEN」ブースでスヤスヤとお昼寝中のお二人が可愛らしい。Rim’sDENさんは、獣化をテーマにしたイラスト・漫画を製作する傍ら、それらを三次元で再現するべく、動物モチーフの着ぐるみやキャットスーツを制作しているアーティストだ。私は、二次元の世界から飛び出してきたケモノ達に目を奪われてしまった。
会場内を行ったり来たりしていると、面白い光景と出会うことがある。
ラバーとケモノと男の娘のスリーショット!フェチフェスらしい光景だ(笑)
左に立っていらっしゃる黒い方は、ラバー界の貴公子・ TENTOKU さんだ。彼は、ラバーを愛してやまない真正ラバリストである。今回は、身体改造ジャーナリスト・ケロッピー前田さんと一緒に出展されていた。
私は、フェチフェス3.5の前に、別のイベントで TENTOKU さんと初めてお会いした。その際、彼の生き方やフェチに強く共感し、またそのお人柄にも惹かれて、彼のファンになってしまった。そんな TENTOKU さんとの再会!この日も、私は彼とガッチリ握手を交わし、ラバー特有の触感を楽しませてもらった(笑)
私は、一般客として普通の格好でフェチフェス3.5に参加した。しかし、異形の者達が跋扈する会場内で、自分だけ普通の人間でいるのはつまらない!!――そんな思いから、初挑戦したのがバキュームベッドだった。
前回のフェチフェス03では、恐れをなして見ているだけだったバキュームベッド――3.5では、勇気を振り絞って、ラバー製の袋に入ったのだった。
掃除機で空気が吸引され、バキュームベッド内は真空状態になっていく。全身がフワッと浮いたかと思うと、ラバー生地が身体にピッタリと張り付いて、徐々に身動きが取れなくなっていった。圧迫感と敏感になった肌の感覚とが心地よく、圧縮された布団になったような、妙な楽しさがあった。まさに「ニンゲンヤメテミル」体験だった。
フェチフェス3.5では、日常生活では味わえない刺激を沢山もらってきた。人外の蠢く世界を垣間見るつもりが、その楽しさにどっぷりとハマってしまった。「ニンゲンヤメテミル」のも悪くないと思えるひとときだった。
写真・文=みみずく