『Luna(ルナ)』SMマッチングサイトの将来展望を聞いてきた!

 フェチやSM界隈で話題のマッチングサイト『Luna』運営ひのさんが、何やら話したいことがあるという……。少し前に『SM Fes! #4』でお会いして面識があったので、取材をさせてもらったぞ!将来的な展望がいろいろとあるようなので、ぜひ最後まで読んでほしい。

目標は「SMの潜在ユーザーをリアルにつなげる場づくり」をすること

20221219_213124ひの「SMに興味がある人やプレイしてみたい人が10いるとしたら、リアルの場にれを落とし込めるはそのうち1割ほどしかいないのが現状だと思うんです。残りの9割はさまざまな理由でオンライン上の活動にとどまってしまう。『Luna』の目標は、その9割にいるSMの潜在ユーザーをできるだけリアルにつなげていけるような、人が進出しやすい場づくりをしていくことなんです」

 

 

 『Luna(ルナ)』(https://luna-matching.com/)とは、SMに特化した日本唯一のマッチングサイトである。18歳以上(高校生不可)のSMが好きな人で、Twitterのアカウントがあれば誰でも会員登録ができるしくみだ。個人の身バレ防止を目的にSMやフェチなどLunaを利用するための専用アカウントを作成する人もいれば、もともとあったアダルトやアングラ界隈向けのアカウントを流用する人、SM道具のクリエイターまたはSM関連のアーティストとしてのアカウントで参加する人などLunaにおける自己表現の方法は人それぞれである

 

 いずれにしても、ユーザーは身体的/肉体的性別を問わずSMに関わる性癖をもってお互いの任意でつながることができる。マッチングが成立したあとは、性的な趣味嗜好の合うお友だちや恋愛相手、一時的なプレイの関係、主従関係、緊縛・ディシスパ(※1)・ぐりぐら(※2)のパートナー探し、SM婚を視野に入れた深い関係性のパートナー探しまでを幅広くできるよう工夫されている。利用者はすでに2万人を超え、Luna主催のオンラインイベントやリアルイベントも開催されている。

 

 利用時に注意したいのは、金銭を介した肉体関係(パパ活・ママ活・売春・買春・貢ぎ・風俗店などの客引き)の相手探しをLunaでは一切許可していないこと。あくまでも「人」と「人」とが性癖でマッチするツールであり、きっかけ作りの場であるのを覚えていてほしい。

 

※1「ディシスパ」躾(しつけ)やお仕置きの一環でスパンキング(お尻を叩く行為)をすること、その関係性。
※2「ぐりぐら」くすぐり・くすぐられという性癖の略称。

  

近い将来、『Luna』はコミュニティサイト化する

20221219_213124ひの「今はマッチングサイトとして出会いの場を提供する機能をメインとしていますが、ゆくゆくは(早くて2023年2~3月には)コミュニティサイトにしていこうと企画中です。 Lunaは人々にとって<SMのプラットフォーム>になることを目指します

 

 

 

 SM知識のないプレイ未経験者から、自身の性癖に沿って具体的な知識を学びはじめた初心者、リアルの遊び場をいろいろと知っているSM界隈の常連さん、プロとして活動するSMプレイヤーまでが安心してSMの情報にアクセスできる場所をLunaのコミュニティが担っていく――。そんな未来像を描いているそうだ。そのためには、個々のユーザーの意見やアイデアを大切にしていきたいと言う。

 

20221219_213124ひのTwitterの機能って優秀で、アンケートという形でユーザーインタビューがサッとできるんです。たとえば、メタバースのオンラインイベントはいつ頃がいいか?という質問を流しておくと100件くらいはすぐに回答がくる。Lunaのコミュニティは、みんなで一緒に作っていくことで真価を発揮すると考えているので、こういったユーザーさんの意見が本当に大事。なので、Lunaの中にも“運営に物申す!”みたいなコミュニティがあってもいいなと(笑)。オンラインイベントでそんな機会を設けたり、リアルで直接お話を伺える場があるのもすばらしい。運営とユーザーの距離を遠くはしたくないんですよね」

 

 幅広い年齢層がおもい浮かべやすい既存のコミュニティサイトで、イメージが近いものというと『mixi(ミクシィ)』があてはまるそうだ。たとえば、「何々フェチの人集まれ!」とか、「SM未経験者の語り場」、「おすすめのSMグッズ」、「女装子さん気になる」、「SMバー行ってみたいor行ってきた」、「どこどこ地方在住の集い」などなど、ユーザーは自分の気になる話題ごとにコミュニティを作成することができ、興味のある人が参加してマイペースにコメントを残すことができる。

 

20221219_213124ひの「自分の状況にあわせてマッチング機能を休止状態にしたり、時間に余裕のあるときだけ的を絞って活動するために“いいね”の受信をオフにしつつ発信はオンにしておける機能を付けたり、ニーズをみながらいろんな施策を実装していきたいと考えています」

 

 

 

 現状は、誰かとマッチングするとTwitterDMを利用して1対1のやりとりが任意で発生することになる。ユーザーの中には、この流れを少々億劫に感じている人もいるかもしれない。マッチングはお互いの性癖を語り合うきっかけにはなるが、どんなことを話せばいいのか分からず対話が止まってしまったり、どんどん質問されて応答するのが大変になったり、同じ話をくり返すうちに疲れてしまったり、次のアクションにつながらずなんとなく関係が自然消滅するときもある。Lunaにコミュニティ機能があれば、自分を表現できるところに参加することでマッチ率の高い相手と交流が生まれやすく、話も弾みやすいのではないか。マッチングそのものが少ないという人も、きっかけの可能性が広がるはずだ。

 

オンライン講座など「学びの場」を提供していく

20221219_213124ひの「鞭(むち)の使い方とか、首の締め方とか、ふつう誰も知らないですよね(笑)。緊縛だって流派によって縛り方には違いがありますが、素人目には分からない。つまり、SMの世界って、自分がしてみたいことのやり方を教えてくれる人がすぐには見つからないんですよ。検索しても、そのそも人を鞭で叩いてはいけません!とかそんな話になっちゃうじゃないですか(笑)。僕がSMを始めた頃は、まず相手を探すのが大変で、自分のしたいプレイの正しい方法がはっきり分からない状態。プライベートで試しながら進めていきましたが、何が危なくて限界値はどの程度なのか、少しずつ身につけていくしかなかったんです。だから、そういう知識を身につける<学びの場>をLunaにオンライン講座として設置できないかなと考えています」

 

 教える側の経験値や専門性が高いウェブコンテンツになるので概ね有料になるだろうとのことだが、地方在住でなかなか身近でSMを習う場がない人や、仕事などで物理的に時間を取りにくい人にとっては、自宅にいながら好きなタイミングで学べるシステムの登場は朗報ではないだろうか。オンライン講座でどのような分野の知識をどれくらい得られるかは今後の課題だが、 Lunaという<SMのプラットフォーム>の理想像がまた1つ見えたように思う。

 

「フェチについて話したい!」という欲求をかなえる

 これは個人的な話だが、自分の性癖は「M」でしかないと思っていた。しかし、この1年で変化があり微量の「S」っぽさもあるのでは?とかんじるようになった。でも、「スイッチャー」と呼べるほどではない。この情報をLunaのプロフィールに載せると、M男性からの“いいね”が増えてしまい、それは少々ミスマッチだな、段階的に早すぎるなと思ってすぐに文章を変えてしまった。自分でもまだよく分かっていない、取扱注意な性癖の目覚めに付き合わせるのは申し訳ないし、がっかりさせそうで萎縮してしまうからだ。

 ……ただ、こういった性の悩みや特殊なフェチの話などを誰かとしたい!というきもちはある。「こういうことってあるよね?どうかな?」という疑問を伝えたり、自分だけでは知りようのなかった情報を共有したり、誰かしらの共感する話にふれたり、エピソードの感想を求めたり――。今すぐ解決しないとまずいわけではないが、心のモヤモヤを漏らしておきたいときって、あったりしませんか?

 

20221219_213124ひの「リアルのSMバーやフェティッシュバーでは、個人の性癖をいろいろと語ったり、聞いたりすることができますよね。それを否定されたり、笑われたりすることなく受け止めてくれる場づくりができている。これは本当に将来的にそうなったらいいなという夢物語ですが、ゆくゆくは、Luna単体でカフェやバーのリアル店舗を持てたらいいなと思っています。これまで、神田『エデン』の1日バー店長としてカウンターに立ったり、錦糸町『Mirage(ミラージュ)』でリアル交流会イベントを開催したりしてきましたし、これからも毎月定期開催をしようと進めていますが、そのきもちはLunaを企画しはじめたときからずっとあるんですよ」

 

 コミュニティサイト化の展望があるのに驚いたばかりだったが、さらにその先の未来をも描いているのには脱帽した。SMやフェチについて、いろんな人がリアルで話せる場がほしい。それがLunaの原点なのだ。

 

第1回『Lunaリアル交流会』開催、次回予告も!

 東京・錦糸町にある関東最大級のSMバー『Mirage(ミラージュ)』にて、第1回『Lunaリアル交流会イベント』が開催された。会場およそ150名のキャパシティに対して事前予約130名という、ユーザーの期待値が伺える盛況ぶりだった今回のイベント、大まかな流れは下記の通り。

1、開場
2、参加料金は先払い。名札を書いて席に移動
3、開演まで店内見学OK、ドリンク販売や物販ブースあり
 ・和柄工房『ゑ悟裟堂(えごさどう)』
 ・ととなわ
 ・鞭/打具『月の痕(つきのあと)』
 ・オーダーメードのSM革製品『SaMidare
4、司会の挨拶(Luna代表ひのさん)
5、交流会
6、緊縛ショー①
縛り手/T2Kさん、受け手/あなきんぐさん
7、緊縛ショー②
縛り手/ゆきすくりーむさん、受け手/みやさん
8、交流会(座席をシャッフルしたのちラスト15分ほどは各位移動自由に)

 SMバー『Mirage』の店内で受付を済ませたあと、自分の性癖が「S」または「S寄り」の人は水色の名札、性癖が「M」または「M寄り」の人は赤色の名札を首から下げることになる。名札には、イベント会場で呼ばれてもよい名前と自分のフェチなどを一言でPRする欄があるので、開示してもよい内容で、話題にしやすいものを自由に書けばよい。

 

 

 交流会は各テーブルに集まった人たちで進めていくが、会話のきっかけになるようなお題をLunaが用意してくれているので、話題に困ったときは活用するとよい。名札の「一言でPR欄」には、みなさん自分の性癖以外にもキャッチ―なことをいろいろ書いていたので、それを見ながら自己紹介をしていくのも楽しかった。なにより当日は「いろんな人と話してみたい!」というユーザーさんがたくさんいるはずなので、心おきなく語り合って過ごしてほしい

 

 

第2回リアル交流会イベント、2023年1月21日開催決定!

 現在、予約受付中だが好評のため早めに締め切るかもしれないとのこと。最新情報はLunaのTwitterにて受け取ってほしい。

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA