ZENTAI ART@原宿デザインフェスタギャラリー<その2>~ゼンタイのどこに魅力を感じますか?
原宿のデザインフェスタギャラリーで開催された「ZENTAI ART」には、全国各地からゼンタイ愛好者が集まった。彼らと交流する中で私が思ったのは、「皆さん、ゼンタイのどこに魅力を感じているんだろう?」ということだった。そんな疑問を解決するべく、私はゼンタイ愛好者の皆さんにインタビューし、各自が思うゼンタイの魅力について語っていただいた。
美しい花柄のゼンタイを着用しているスレンダーな美女は殿(との)さん。普段は役者やモデルとしてご活躍中の彼女は、ラバーやボンデージなど、体にぴったりとフィットするものが以前から好きだった。拘束が強いと安心できるそうだ。もちろん私服も、ピチッとしていて、動きに不自由をもたらす服を好んで着るという。また、「ゼンタイを着用すると肌が敏感になるのも気持ちいいんです」とも語ってくれた。
FFG15としても大活躍中の幸和あいきさん。バブリーで派手めなゼンタイは、フェチフェス05のときにも着用していたものだ。彼女のゼンタイ初体験は、タムラセイワさん(「ZENTAI ART」のプロデューサー)からの依頼だった。それ以降、衣装フェチの彼女は、150着あるコスプレ衣装にゼンタイを加えることとなった。「ゼンタイもフォーマルウェアです」と言うあいきさんにとって、ゼンタイはファッションなのだ。
カラフルなゼンタイ姿でポーズを決めてくれたのはねずみこさん。彼女はSMの緊縛からゼンタイへ入ってきた。ゼンタイ歴は2年になるそうだ、「ゼンタイの肌触りも好き」とのことだが、普段はゼンタイを着ないとか。「イベントでの出会いが楽しいからゼンタイを着るんです」と語る彼女は、コミュニケーションツールとしてゼンタイを楽しんでいる。
男性のお話も聞いてみよう。青いマーブル模様のゼンタイを着ているのはゼンタイ民さん。彼はデパートメントHの常連さんでもあり、いつもゼンタイブースにいる。彼のトレードマークとなっているこの柄のゼンタイは、実はお遊び用で、自宅には同じものが3着あるそうだ。彼はゼンタイの布地でスリスリしたときの質感を愛好する。一方で、ゼンタイを着用して皆でワーッと盛り上がるのも好きだという。「みんなが楽しいのが一番です。そのお手伝いをしたいと思っています」と語るところに彼のお人柄が滲み出ていた。
我らがフェチフェスメンバーもゼンタイ姿で参戦!運営スタッフの椿あるとさんとFFGN特攻隊長の渡邊みりさんだ。
あるとさんは、フェチフェス3.5で初めてゼンタイを着用し、その心地よさに目覚めたという。彼が好むのは圧迫感ではなく、布そのものの触り心地や柄である。今回着用しているブルーのゼンタイは、借り物ではなくマイゼンタイとのこと。ゼンタイに対する愛を感じる。
みりさんは、ゼンタイ生地が身体全体を覆うことで得られる無個性感、性別すら明確ではなくなってくる感覚に魅力を感じるという。一方で、それぞれの人間が持つ個性は失われず、マネキンが一体一体違うのと似ている感覚も味わえるそうだ。「ゼンタイを着ていると、肌と生地と外部の境界線が曖昧になる気がします。その状態での肌触りが好きです。気がつくと自分で腕や太ももをスリスリしているんです」と語るみりさんは、ファッションとしてもゼンタイを楽しんでいる。
こちらの可愛い子ちゃん2人は、マナさんとかれんさん。
マナさんは、「ゼンタイを着て外を歩きたい!」という強い思いを実現すべく、この日初めてゼンタイを着用。実際に外を歩いてみて、体のラインが見えることに対する背徳感を抱きつつ、想像通りの気持ちよさに大満足だったそうだ。緊縛からゼンタイへ入った彼女は、ピチッとした拘束感が好きなのだ。また、蛍光グリーンが好きで、その色のゼンタイに拘ったという。
かれんさんは、バキュームベッドやマミフィケーションといった、ハードな拘束プレイを好むお嬢さんだ。マイゼンタイ着用で参戦するくらいの猛者だが、唯一の弱点が視界である。「眼鏡をかけている人は、目が見えないことの恐怖を知っているんですよ」と語る彼女は、視界がふさがるのが怖いため、常に顔出ししていた。
ショッキングピンクのゼンタイを着用するのはサクライさん。彼女は、ケモノ系の着ぐるみが好きだという。幼いころから「着ぐるみを着たい」と思っていた彼女は、そこからゼンタイの世界へ。「自分のことが大嫌いで、何か別のものになりたいという変身願望があるんです」と彼女は語る。実際にゼンタイを着てみて、非日常の感覚がとても気持ち良かったそうだ。
一番右側の半魚人っぽいゼンタイさんはジャンさんだ。ユニークな柄のゼンタイは、青系統で夏らしく、光沢のある生地のものをセミオーダーした一品。ジャンさんは、美しさに対する拘りがあるのだ。彼がゼンタイに目覚めたきっかけは、昔フェチ本で見たゼンタイの写真だった。その写真を一目見てピンと来たそうだ。
右から2番目の黒いゼンタイさんはナベさんだ。彼は、中学生時代にゼンタイの動画を見始め、実際に着用したのは大学生になってからとのこと。ゼンタイを着て皆でスリスリするのが楽しいので自分一人では着ないという。彼にとって、ゼンタイを着ることはコミュニケーションの一部なのだ。
SMや緊縛の延長、圧迫感や生地の触感に対するフェチ、変身願望、ファッション、コミュニケーションツール……ゼンタイのどこに魅力を感じるかは人それぞれであり、それ故に十人十色の楽しみ方があるのだ。(続く)
トウキョウゼンタイクラブのゼンタイWEB of TOKYO ZENTAI CLUB:http://www.tokyozentaiclub.net/
トウキョウゼンタイクラブ 『ゼンタイアート』 概要:http://www.designfestagallery.com/form_jp/gallery/exhibitors/detail.php?id=Y000028538
写真・文=みみずく